抵抗内蔵LEDを用いた簡易星球の製作


コンサートや舞台、テレビ等で用いられる星球は、色々な場面を演出することができる、とても綺麗な照明エフェクトです。
プロが使う星球は、設定機能やチャンネル数も豊富で、より深い演出効果が可能ですが、その分とても高価な代物で、ボランティアで活動する私達には、高嶺の花です。
以前から私は、LEDを活用して簡単に星球が製作出来ないかどうか、実験を試みていたのですが、一般的なLEDの場合は、外部に抵抗を付けるか、或いは、ツェナーダイオードで電流制御を行わないと点灯してくれません。
そんな中、目に止まったのが秋月電子で販売されている、抵抗内蔵LEDです。
今回は、定格電圧が DC5VとDC12V の種類があるので、2種類の抵抗内蔵LEDを用いて、製作します。
これですと、DC5Vを加えると5V仕様のLEDはフルで、12V仕様のLEDは、ほぼ半分の光量で発光してくれます。
以上のような仕様で、今回LEDの星球を製作してみました。
各方面で活躍されるアマチュアの皆様の参考になれば幸いです。

  1. 製作上のコンセプト
    ★製作上のコンセプトとしては、下記の通りです。

    • 比較的簡単に入手可能な電子部品を活用して、可能な限りローコストを狙う。
    • もちろん、安全面も十分に配慮する。
    • 仕込みに際しては、素人でも簡単に設置、撤収ができる。
    • できるだけ消費電力を少なくして、エコな星球を製作する。

    ★製作イメージは、下図の通りです。

  2. 電子部品等の選定
    今回の製作で使用した電子部品等は、下記の通りです。
    ここで一番悩んだのが、LED星球を直接吊り下げるビニールコードです。
    できるだけ細く目立たないもので、かと言ってハンダ付作業ができないものは使えません。
    また、LEDは、DC電圧駆動なので、プラスマイナスの極性も簡単に認識できる必要があります。
    悩んだ末に今回は1号機ということで、UL1571 AWG30 の赤黒より線を使用することにしました。
    このコードの太さ(直径)は、実測値で 約0.7mm です。
    下の写真で、1円玉と電線の太さを比較してください。

    部品名 数 量 販売店(参考)
    抵抗内蔵LED 白色:5V 必要数 秋月電子
    抵抗内蔵LED 青色:5V 10個 秋月電子
    抵抗内蔵LED 白色:12V 必要数 秋月電子
    抵抗内蔵LED 青色:12V 10個 秋月電子
    0.75SQ、赤黒平行電線 10M ホームセンター各店
    0.2SQ、赤黒平行電線 10M ホームセンター各店
    UL1571 AWG30 赤黒より線 各30M 有限会社 樋口電業社
    DC6V、DCアダプター(0.3A:トランスタイプ) 1個 千石電商
    DCプラグ 必要数 秋月電子
    DCジヤック 必要数 秋月電子
    NEUTRIK社製、スピコン用、ジャック(NL4MP) 1個 サウンドハウス
    NEUTRIK社製、スピコン用、プラグ(NL2FC) 1個 サウンドハウス

    (青色のLEDは、色合いを見るために実験では使いましたが、実際は全て白色を使っています)

    上記一覧表以外には、熱収縮チューブ、インシュロック、プラダンボール等を少量使用しました。

  3. 設計のポイント(2014年03月23日:一部追記)
    回路的には非常にシンプルで、AC100VをDC6Vにアダプターで変換して、抵抗内蔵LEDをただひたすら並列に接続していくだけです。
    DC5V使用時、1個のLEDには、平均、約4mA の電流が流れるので、例えば100個接続すると 計算上 約400mA 流れることになります。
    LEDの定格は、「5V用」と「12V用」を使用するので、この状態でも明るさの違いは認識できます。
    電源アダプターは、旧式のトランスタイプを使用するのが、大きなポイントです。
    最近多く出回っている、スイッチングタイプの電源アダプターでは、うまく調光ができません。

    なお、調光をかけた場合、じわっと暗くなる感じをより強調させるために、自動車用の【 エーモン 1851 残光ユニット 】を採用しています。
    今のところ、このユニットを使用することで、点灯、消灯時にじわっと動作させることが可能になり、特段の不都合も発生していません。
    ただし、本来の使用方法では無いことを承知の上、使用に際しては全て自己責任の範囲内でお願いします。

    【 実際の調光の様子を YouTube にアップしました 】
    (音声はありませんので、悪しからず)

  4. 電源ボックス
    電源ボックスは、手持ちのアルミ製ケースを流用したので、不必要な穴が開いています。
    この電源ボックスには、上面に「 ダボ 」が取り付けてあり、一般的なハンガーを固定して、このままバトン等に固定します。
    さらに落下防止ワイヤーを通す、アイボルトも付けています。
    また、電源ボックスの中には、ヒューズホルダーを内蔵しています。

    電源ボックスの出力コネクターは、スピーカーケーブルによく用いられているNEUTRIC社製のオス・メスを使用しました。
    定評があるNEUTRIC社製のコネクターなので、信頼性は抜群です。


  5. バトン等に這わせるコード部分
    電源ボックスからバトン等に這わせるコードは、0.75sq の赤黒平行電線を使用しました。

    赤黒平行電線から星球を直接接続するプラグ付き電線は、0.2sq の電線で、写真のように配線しています。
    この各プラグ付き電線の間隔は、取りあえず1尺(約30cm)間隔で半田付けしています。

  6. 星球を接続した赤黒より線部分
    星球を接続した赤黒より線は、写真の通り白いプラダンボール製ボビンに電線を軽く巻いておきます。
    写真では白いLEDが2個見えていますが、裏側にも2個の白色LEDのが接続されています。
    プラダンボール製ボビンに巻いてある細い電線が、UL1571 AWG30 の赤黒より線です。
    使用しない状態で、ほどけてこないように輪ゴムで固定します。
    なお、星球の電線、UL1571 AWG30 と輪ゴムは、インシュロックでプラダンボールに固定されています。
    これらは、いちいち外さずに、そのまま美術バトン等に固定して吊り込みます。
    白いプラダンボール製のボビンは、百均の引出し用の仕切りを切断して使っています。
    この引出し用仕切りは、以下の写真のものを流用します。



    ★上記写真、左中央部のように 赤黒0.2sq電線 と UL1571 AWG30 をジョイントして、熱収縮チューブで絶縁しています。


  7. デモンストレーション(試験点灯)
    試験的に会館のバトンに吊り込んでみました。



    ↑電源ボックスは、このようにハンガーを用いて吊り込みます。


    ↑6本ぶら下げて、試験点灯させた状態です。


    ↑8本ぶら下げて、バトンを飛ばして、試験点灯させた状態です。
    写真の左上から、ホリ幕、大黒幕、星球を吊った美術バトン、正反の順です。


    ↑作業灯を消して、ストロボ無しで試験点灯させた状態です。
    この写真では、吊り込んだ星球が、9本写っています。
    それとなく、きれいな雰囲気は出ています。
    写真右から2本めと3本目の、各上から3つ目の抵抗内蔵LEDは、たまたまカメラの方向に向いていたので、特に明るく写っています。


    ↑抵抗内蔵LEDを一つ拡大した写真です。
    ストロボで分かりにくいですが、これで点灯しています。

    ★大黒幕を使用する場合
    LED星球の後ろ側が大黒幕の場合は、客席から見ると全く違和感なく、赤黒より線は気になりません。

    ★ホリ幕を使用する場合
    ホリ幕の出色によって全く違ってきますが、明るい系の色では赤黒より線が少し目立ちます。
    ただ、Uホリを絞って、Lホリで色を作る等、工夫をすれば十分使えるレベルです。
    このあたりは、照明デザイナーの好み、ある意味、腕の見せどころかもしれません。
    色々と試してみるのも、面白いと思います。

      ★ 課題事項 (今後、下記のように改善しようと思います) ★

    1:コの字型プラダンから、ぶら下がっている、最初のLED星球までの赤黒より線の寸法を 1〜2m 長くする。

    2:LED星球が一番下に付いた、可能な限り長いものも、数本作成する。

    3:赤黒より線は前もってツイスト(よじること)しておき、赤黒より線の癖を取る。

  8. 現場での使用レポート@ (2014/03/16:追記)
    会館のバトンに吊り込んで、実際のコンサートで使ってみました。
    ホリ幕をよく見ると、電線が薄く見えています。
    当日は、大黒幕でも使いましたが、予想通り全く違和感はありません。
    バトンに吊っているLED星球は模様のように見えていますが、吊込む順番を変えることで、この模様は変わってきます。

  9. 終わりに
    お約束ですが、このLED簡易星球製作に当たり、当方はこの星球を用いた結果に関して、良し悪しに係わらず一切感知いたしません。
    全ては、皆様方の自己責任の範囲内で活用をお願い致します。